
iPhoneのバッテリー交換を自分でしようと考えていませんか。解説コラムや動画が公開され、ネットショップでは修理用のキットも販売されており、自分でも修理できそうな環境がそろっています。しかし、自分での修理はあまりおすすめできません。メリット以上にデメリットが大きいからです。
このコラムでは、iPhoneのバッテリー交換を自分でやるのをおすすめしない理由やリスク、どうしても自分で交換する場合の手順を説明します。ぜひ参考にしてください。
- 目次
iPhoneのバッテリー交換は自分でできる?おすすめしない理由
iPhoneのバッテリー交換は、工具や交換用バッテリーを用意すれば自分でできる場合もあります。しかし実際には、法律面・故障・発火・保証対象外などのリスクがあり、安易に行うのはおすすめできません。
自分でバッテリー交換をするのは違法の可能性がある
バッテリー交換そのものが違法というわけではありませんが、電波法違反につながる可能性があります。iPhoneを分解して部品交換を行い、技適の条件を満たさない状態で使用すると、違法になるおそれがあるためです。
電波法違反には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。実際にバッテリー交換だけですぐに罰せられるケースは多くありませんが、違法になる可能性があることは理解しておきましょう。
画面割れやケーブル断線など故障のリスクがある
iPhoneのバッテリー交換では、画面を開けて内部のパーツを取り外す必要があります。手順だけ見ると簡単そうに思えますが、実際には細かい部品やケーブルが多く、少し力を入れすぎただけで故障につながることがあります。
たとえば、ディスプレイケーブルやホームボタンまわりのケーブルを傷つけると、タッチ操作ができない、画面が映らない、ボタンが反応しないといったトラブルが起こりかねません。
動画や解説記事の通りに作業したつもりでも、端末の状態や機種によって内部構造は異なります。バッテリー交換だけで済むはずが、画面交換や本体修理まで必要になる場合もあるため注意が必要です。
バッテリーの発火・膨張につながる危険がある
iPhoneやスマートフォンには、リチウムイオンバッテリーが使われています。リチウムイオンバッテリーは、強い衝撃を与えたり、無理に曲げたり、工具で傷つけたりすると、発熱や発火につながる危険があります。
バッテリーを取り外す際、粘着テープがうまく剥がれず力任せに外そうとすると、バッテリーに負荷がかかります。万が一発火すると、やけどやケガだけでなく、周囲に燃え移って火災につながる恐れもあります。
特にバッテリーが膨張している場合は、通常よりさらに危険です。膨らんだバッテリーを押したり穴を開けたりすると事故につながるため、自分で作業せず専門の修理店に依頼することをおすすめします。
Appleの保証や正規修理の対象外になる可能性がある
自分でiPhoneのバッテリー交換を行うと、AppleやAppleCare+、キャリアの保証が適用外となることがあります。特に、分解中に別の部品を傷つけたり、非正規の部品を取り付けたりした場合は、保証対象外と判断されやすくなります。
保証に加入していても、自分で修理したことが原因の不具合は、無償修理や通常の保証対応を受けられないおそれがあります。毎月保証料金を支払っていても、いざという時に使えなくなるのは大きなデメリットです。
防水性能が低下する可能性がある
iPhoneには、防水性能を保つためのパッキンやシールが使われています。バッテリー交換のために本体を開けると、この防水性能が低下することがあります。
一度開けた本体を元通りに閉じたつもりでも、内部のシールがずれたり粘着が弱くなったりすると、水や湿気が入りやすくなります。その状態で水まわりや雨の中で使用すると、内部に水分が入り、故障の原因になりかねません。特に、過去に水没した端末や画面が浮いている端末は注意が必要です。
iPhoneのバッテリーを自分で交換する前に知るべき違法性・法規制
iPhoneのバッテリー交換を自分で行う場合、作業の失敗だけでなく、法律や安全基準に関する注意点もあります。技適マーク、PSEマーク、登録修理業者制度など、交換前に知っておきたい法規制を説明します。
技適マークに関する注意点
iPhoneは電波を発する通信機器です。そのため、日本国内で使用する端末には、技術基準への適合を示す「技適マーク」が関係します。
正規に販売されているiPhoneであれば、通常は技適マークが付いています。しかし端末を分解して部品交換を行うと、修理内容によっては技術基準適合証明の効力に影響する可能性があります。
バッテリー交換をしただけですぐに電波法違反になるとは限りません。ただし、分解や修理によって技適の効力が失われた状態で電波を発すると、電波法違反になる恐れがあります。
PSEマークが確認できないバッテリーのリスク
「PSEマーク」とは、電気用品安全法で定められた安全基準に関する表示です。リチウムイオンバッテリーは取り扱いを誤ると発熱や発火につながるため、品質や安全性の確認が欠かせません。
交換用バッテリーの中には、純正品ではない互換バッテリーもあります。すべての互換バッテリーが危険というわけではありませんが、PSEマークや販売元の情報が確認できないものは、品質面・安全面に不安が残ります。
価格の安さだけで選ぶと、バッテリーの持ちが悪かったり、膨張や発熱などのトラブルにつながったりすることがあります。交換用バッテリーの選び方には注意が必要です。
登録修理業者制度と修理店の違い
「なぜ街の修理店なら大丈夫なのか」と疑問に思う方もいるでしょう。そこで知っておきたいのが、登録修理業者制度です。
登録修理業者制度とは、スマートフォンなどの修理について、一定の基準を満たした修理方法や確認方法を備えた事業者が、総務大臣の登録を受けられる制度です。登録修理業者は、登録した修理方法に従って作業を行い、修理記録の保存なども求められます。
つまり登録修理業者は、単に「修理をしているお店」というだけでなく、修理方法や確認体制について一定の基準を満たした業者です。
ただし、街の修理店がすべて登録修理業者というわけではありません。修理を依頼する際は、登録修理業者かどうか、使用するバッテリーの品質、修理後の保証内容を事前に確認しておくと安心です。
バッテリー交換の修理店はどこを選ぶべき?
iPhoneのバッテリー交換を依頼する場合、保証の有無によって選ぶべき修理店が変わります。AppleCare+やキャリア保証に加入しているなら正規店、保証がない場合は費用や対応スピードを見ながら非正規修理店も検討しましょう。
保証があるならApple Storeがおすすめ
AppleCare+やキャリアの保証に加入している場合は、まずApple StoreやApple正規サービスプロバイダでの交換を検討しましょう。保証の条件を満たしていれば、追加費用なしで交換できる可能性があります。
また、Appleの正規修理ではAppleの基準に沿った修理を受けられるため、交換後も安心して使える点がメリットです。
ただし、Apple Storeは事前予約が必要な場合が多く、店舗や時期によってはすぐに対応してもらえないこともあります。急ぎの場合でも、まずはAppleサポートや正規サービスプロバイダの空き状況を確認してみるとよいでしょう。
保証がない場合は非正規修理店も選択肢になる
AppleCare+やキャリア保証に入っていない場合や、保証期間が切れている場合は、街の非正規修理店も選択肢になります。
非正規修理店のメリットは、正規店より費用を抑えやすく、予約なしで対応してもらえる店舗があることです。即日修理に対応し、短時間でバッテリー交換が完了する店舗もあります。
一方で、非正規修理店は店舗によって使用するバッテリーの品質や保証内容に差があります。料金の安さだけで選ばず、登録修理業者かどうか、修理後の保証があるか、口コミや実績を確認できるかを見て選ぶのがポイントです。
iPhoneのバッテリー交換にかかる費用の目安
iPhoneのバッテリー交換費用は、自分で交換するか、Apple Storeや正規サービスプロバイダに依頼するか、街の修理店を利用するかで変わります。
自分で交換する場合の費用
自分で交換する場合は、主に交換用バッテリーと専用工具の費用がかかります。数千円程度から購入できるものが多く、修理店に依頼するより安く見えるかもしれません。
しかし、安価なバッテリーの中には品質や安全性に不安があるものもあります。故障や発火、保証対象外になるリスクも含めて考えると、自分での交換はおすすめできません。
Apple Store・正規サービスプロバイダの費用
Apple StoreやApple正規サービスプロバイダで交換する場合、費用はiPhoneの機種や保証の有無によって異なります。
AppleCare+に加入していて、バッテリーの最大容量が一定以下に低下しているなどの条件を満たしていれば、追加費用なしで保証内の交換が可能です。保証に入っていない場合は、Appleの公式サイトで機種ごとの費用を確認しておきましょう。
街の修理店に依頼する場合の費用
街の修理店に依頼する場合、費用は店舗や機種によって変わりますが、おおよそ数千円から1万円台程度で交換できる店舗が多いです。
一般的には、Apple Storeや正規サービスプロバイダよりも安く交換できるケースがほとんどです。古い機種ほど比較的安く、新しい機種やProシリーズなどは費用が高くなる傾向があります。
正規店と街の修理店(非正規店)の費用の違いを詳しく知りたい方は、下の関連記事をご確認ください。
どうしてもiPhoneのバッテリーを自分で交換する場合の手順
iPhoneのバッテリーを自分で交換する場合の手順を説明します。ここでは個人での交換をおすすめしていないため、大まかな流れのみを紹介します。
バッテリーを外す手順
- 充電コネクタの両わきにあるねじを専用の星形ドライバーで外す
- 吸盤を使用して画面を持ち上げる
- 隙間が空いたらヘラを入れて開く
- 本体からディスプレイを取り外す
- バッテリーコネクタ部分を外す
- バッテリーを外す
バッテリー取り付け手順
- 新しいバッテリーを取り付ける
- バッテリーコネクタをつなぐ
- 本体とディスプレイをつなぐ
- 充電コネクタの両わきにあるねじを専用の星形ドライバーで締める
文字に起こすと簡単にできるように感じますが、実際には、細かな注意点などもあり、失敗してしまうことで様々なリスクが生じます。また、失敗してしまって修理店に持っていった場合には、バッテリー+工具代金、さらに、ほかの修理費用が加算されてしまいます。費用を抑えたくて自分で修理したという場合に結果的に安く収まりません。
iPhoneのバッテリー交換を検討すべき症状
充電の減りが早い、突然電源が落ちる、バッテリーが膨張しているといった症状がある場合は、早めにバッテリー交換を検討しましょう。
バッテリー最大容量が80%前後まで低下している
バッテリー最大容量とは、新品時と比べてどのくらい充電できるかを示す目安です。最大容量が80%前後まで低下している場合は、バッテリー交換を検討するひとつの目安になります。
ただし、最大容量の数値だけで判断する必要はありません。80%以上あっても、充電の減りが早い、動作が不安定、突然電源が落ちるといった症状がある場合は、修理店やAppleサポートに相談してみるとよいでしょう。
充電の減りが早い・突然電源が落ちる
以前より明らかに充電の減りが早くなった場合は、バッテリーが劣化している可能性があります。朝に満充電にしても昼過ぎには残量が少なくなる、あまり使っていないのに電池が減るといった場合は注意が必要です。
また、バッテリー残量がまだあるのに突然電源が落ちる場合も、交換を検討すべき症状のひとつです。バッテリーが劣化すると、必要な電力を安定して供給できなくなり、急にシャットダウンすることがあります。
バッテリーが膨張している
iPhoneの画面が浮いている、背面や本体にすき間ができている、画面を押すと違和感があるといった場合は、バッテリーが膨張している可能性があります。バッテリーの膨張は非常に危険な状態で、使い続けると画面や内部パーツを圧迫して故障につながるだけでなく、発熱や発火のリスクもあります。
膨張したバッテリーを自分で押し込んだり、画面を無理に閉じたりするのは避けましょう。使用を控え、できるだけ早くApple Storeや正規サービスプロバイダ、修理店に相談してください。
まとめ
iPhoneのバッテリー交換は、交換用バッテリーや工具を用意すれば自分で行える場合もあります。しかし、分解による故障や発火、保証対象外、防水性能の低下など、さまざまなリスクがあります。技適マークやPSEマークなど法律や安全基準に関する注意点もあるため、安さだけで判断するのはおすすめできません。
自分で交換して失敗すると、バッテリー交換だけで済まず、画面修理や本体交換など追加費用がかかる可能性もあります。安全に長くiPhoneを使うためにも、バッテリー交換は無理に自分で行わず、信頼できる修理店へ相談することをおすすめします。
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